主のひとり言V

 

ひとり言其の十七

 

ひとり言其の十八

 

ひとり言其の十九

 

ひとり言其のニ十

 

ひとり言其のニ十一

 

ひとり言其の二十ニ

 

ひとり言其のニ十三

ひとり言其の二十四

2018年1月8日

 

明けましておめでとうございます。昨年中のご愛顧に感謝し、本年もよろしくお引き立てのほどお願い申し上げます。

今年はわんちゃんの年、我が家の「チョコ」も正面玄関入り口で、皆様のおいでをお待ちしておりますので、旧年中にも増して可愛がってくださることを併せてお願い申し上げます。

正月早々、左目が「いづい」と思って眼科に行ったら、血管が切れての充血で休養すれば治るとの事だった。しかし、正月早々JA宮城仙南 村田町の新年会への蕎麦出しに係わり、なんとも気忙しい正月休みでした。

蕎麦打ちは休めなくとも目だけでも休ませよう、そんな思いと冬季増区集配請負人 として30年近くお世話になった郵便局への少しだけの恩返しも考えての今年の年賀状。年賀はがきに10円切手を貼り足して、8日以降になったら78歳にならんとする自分の思いを込めてゆっくり一枚一枚の年賀状にしたい。そんな年明けとなった。

保健所からいただいてきた「チョコ」も今年で6年目になろうとしている。人懐っこく我が家の招き犬となってすっかり人気者。今年1年も頑張ってほしいと、心を込めての毎日の餌やりも自分の日課となっている。「チョコ」とともに自分も我が身をいたわりながら頑張りますので、本年もよろしくお引き立てのほどお願いいたします。

 

白地に赤く日の丸染めてああ美しい日本の旗は 

 

2018年2月4日

 

早いもので立春。昨日引き上げたそばを春の柔らかい日差しと風にさらされて、手入れすること1ヶ月。お彼岸の中日からの寒晒し蕎麦の提供を目指して、これから毎日の手入れが日課となった。今年は特に厳しい寒さの中で、鼻水をたらさんばかりの作業で手は凍え、防寒ジャンバーを着用しても骨身にしみた。でも待っていてくださるお客さんのことを思うと、寒さも何のそので辛さも忘れるが、作業を終えたときは寒さ疲れをどっと感じるようになった。

先月の21日は地区公民館の新年会に参加。そのために臨時休業としたが、うちに帰ると家内から「今日誰それさんや誰さんが来たんだよ」と話を聞かされると 、せっかく来てくださったお客さんに申し訳ない気持ちでいっぱいになってしまう。

地域の多くの皆さん方からの応援や力添えがあって、我が家の蕎麦屋稼業も成り立っているということを考えると、“地域も大事、お客さんも大事”そんなことを考えながらその日の夜はいつしか寝込んでしまった。

この地に生まれて今年で78年、これからのことを考えると、なるべく定休日以外は休まないようにしたいとは思うけれど、どうしても休まなければならない時もある。そんなことを常に考えながら、多くの皆さん方の力を借りながら、いつまで続くかわからないけれど蕎麦打ちをやってみたいと思う。

地域のみんなとの新年会には、それぞれ地域の将来について語り合い、たまゆら蕎麦組合の作付け計画や、公民館事業に多くの地区民参加が得られるような方策などについて語り合い、今年1年が戌年のように元気で明るい年になることを祈って語り合い親睦を深めた。

 

柔らかな日差しと風にさらされて 手入れ重ねる寒晒し蕎麦

 

2018年3月16日

 

今年の冬は寒く雪が多かった。何年か前までは4時前起床、朝食前までにはその日の分の蕎麦を作り終えて、日中は庭の手入れとか農作業その他をしたものだが、寒さに震えて今年はそんなことはできなかった。震えるということは、体もそして気持ちも萎縮してすべてに消極的になってしまうのかもしれない。

3月も半ばとなって暖かさが日ごとに感じるようになり、お彼岸の中日から提供する寒晒し蕎麦に向けて目下準備に追われている。蕎麦を磨き、製粉、粉合わせ、どれも手を抜くことのできない大事な作業である。その蕎麦を作るのは我の両手であり、その手を何よりも大事にしている。その方法の一つに、風呂上がりに両の手に牛乳を少量たらして手のひらで十分にこすり合わせ、滑らかになったその手で頬を撫で、最後にかかとを十分にこすり合わせる事を風呂上がりの日課としている。なぜ手のひらかというと90×120cmに伸ばした麺体を手のひらで隅から隅までなぞって、均平に仕上げるのが手のひらなのであって、麺体を丁寧に撫でまわすと少しの凹凸も感じるのだから不思議なものだ。蕎麦打ち作業以外は、必ず手袋着用で蕎麦屋開業以来まだ一度も手を傷つけたことはない。手打ちそばとは自分の思いを、手を通して蕎麦に伝わるものだと常に心して、自分なりの手打ちそばを作り続けたい。

 

 

でこぼこを感じる2つの手のひらで我の心を蕎麦に打ち込む

 

2018年4月19日

 

朝から上天気、あまりにも天気が良すぎて苗代の温度管理が大変だ。今年の寒晒し蕎麦は3月お彼岸の中日から提供を始めたが、いつものお客様から一様に「甘いね」「やはり違うね」と語らいながらお話をしていって下さる事は大変嬉しかった。

春休みのある日、駐在所に可愛いインコがいると言うので孫たちとお伺いした。黄色くて人懐っこいインコは駐在所の人気者になっているという。インコと一緒に二人のお巡りさんからもにこやかに迎えてもらったのでインコを中心に記念写真を撮らせてもらった。このインコをみていると自然と気持ちが癒されてくるようになり、多くの人に人たちに愛されてほしいと思った次第である。

春休みや休日を利用してバイトしてくれた孫も高校卒業と同時に地元役場への就職が決まった。そのお祝いも兼ねて従業員バイトさん方も含め3月25日閉店後、近くの秋保温泉に出掛けた。温泉に入りそして秋保大滝の霊気を浴び、帰りは羽生選手もお参りしたという勝負の神様、秋保神社へ参拝。お昼はどこにしようか?となった時、孫たちはファミレスが良いという。それを聴いたばあさんは「ハミガキでご飯食べれるの?」でも店をでた時は「おいしかった 色んなものがあるんだね」と嬉しそうな顔で我家に着いたのは26日の夕方であった。

 

 

大滝の霊気をあびて 参詣す 今年も精進 神々に祈る

 

2018年5月28日

 

寒晒し蕎麦の期間中、特に日曜祭日は待ち時間が長くなってしまいお客様には申し訳ない気持ちでの蕎麦打ち作業であった。我家では待ち時間に見てほしいと思い、各種読み物や雑誌等を揃えているが、大方のお客様はスマホ片手で待っていてくださるようだ。聞けばそのスマホなるものは全てが内臓されているというから“なるほど”とうなずけるがこれも時代の進歩というものであろうか。

自分も少しはパソコンを覚えようと77の手習いで目下パソコン教室に通い始め、慣れない手つきで画面と向かい合っている。お断りしておくが自分のホームページは手書きの文章とお店でプリントしてもらった写真を弟に送り、それを弟がホームページにしてくれている。申し訳ないやら有難いやら‥そんな気持ちから77歳の手習いとなった次第。

この頃寝る前に昔撮りためておいた写真等を眺めては色々と思い出している。今から20年ほど前、民話の里で蕎麦打ち作業や研修の最中だった頃、蕎麦打ちの技術を深めるため当時の上司であった西浜さんと、水車で粉引きをしているという岩手県葛巻町にある「森のそば屋」に休日を利用して訪れたことがあった。

春3月上旬とはいえ残雪が一杯、酪農家らしき建物もある長閑な農村風景のなかに目指す「森のそば屋」があった。水車で粉引きしている場所もあり、その粉を使用してお婆さんがあざやかな手捌きで蕎麦作りをしている。しばらく観ていると近くの農家から「搾りたての牛乳ですよ」とコップ一杯皆にご馳走していただいた。

やがて出てきた採りたての自然の香り豊かな山菜の天ぷらと蕎麦をみた時、一心不乱に蕎麦を打つお婆さんの姿を思い浮かべ、何かしら心打たれるものを感じたのは自分ひとりではなかったようだ。作る人の気持ち、食べる人の気持ちが相通じることによって蕎麦本来の旨さにプラスαがあるのではないか‥

お婆さん方に心からのごちそうさまを伝え、帰りは平庭高原という所を通ってきたが、見事な白樺林のハイウェイを蕎麦の余韻を楽しみながら帰ってきたのは約20年前の事だったが、つい先日のような感じとなってペンをとった次第でした。

 

 

思い出す 残雪残るあの里で 食べしあの蕎麦 あの白樺林

2018年7月28日

 

今月初め大豪雨被災地となった西日本地方を台風12号が通過するという。静かに通り過ぎてくれることを願うのみだ。

7月最初の日曜日、免許証更新前の高齢者講習を受講した。認知症、実技などの検査検定ののち手渡された結果は合格点だった。これから向こう三年間80歳までは運転できる喜びで帰ってきた。この一人喜びも西日本地方の大豪雨災害を思うと、今すぐにでも現地に行って何かをしてやりたい。そんな思いに駆られながら、民生委員在任中に起きた3.11の東日本大震災の大津波を思い出していた。

町社協の呼びかけに応じて、何度となく朝の2時3時に起床、その日の蕎麦打ちを終えてから被災地のボランティア作業に参加した。いくらかでも力になるならば‥と思うと早朝の起床と蕎麦打ちはちっとも苦にならなかった。あの時は姫路城の近くだという方とも仕事もし、広く各地から温かい支援の手があったことに、被災地宮城県人の一人として嬉しさを感じたものだった。  

そして今、東北各地からも復旧復興の手助けにと、支援の手が差しのべられているのをみると、日本人の心の底にはいざという時にはお互いに助け合うという強い「絆」が宿っているのではないかとつくづく感じるのである。

 

 

被災者によりそい ともに汗流す 姿尊きボランティア

 

2018年9月3日

 

今年は暑かった。外がいくら暑くとも川から吹いてくる涼しい風で、部屋の中は扇風機と昔ながらの団扇で食事を楽しんで頂いていたのだが、今年はそうもいかなかった。玉のような汗を拭きながら出てくるお客さん方を見ていると、蕎麦打つ手を休めて何とかしなければ‥と知り合いの電気屋さんにクーラー設置をお願いするも一ケ月以上かかりますとの返事。それでは役に立たない、思い余って何回となくお二人そろって食事にきてくださる電気屋さんに人を介して依頼したところ、すぐさま設置してもらったのには嬉しさこの上ない事であった。自分でも手を尽くして屋根に遮光幕を張ったりしたのだが、毎日30℃以上の暑さなんてものは経験したことがなく、そんな中にも来店してくださるお客様には出来る限りのことをせねば、との思いがようやく叶った次第である。

先月20日の定休日、麦藁帽子タオルの日除け姿で作業しているところに、二食大盛に生醤油だけで食べるハギハラさんが来店された。今月末で札幌に帰るので最後の食事に訪れたとの事。あいにく定休日だったので、今までの来店御礼の言葉を述べながら、しばしの立ち話を楽しみ二人揃っての写真を撮らせてもらった。

今年の暑い中でも、太目の十割二食や十割と千寿の相盛とかを食べにきてくださるお客様に、感謝の思いをこめて手を抜くことなく我の蕎麦を打ち続けたい、そんな思いにふけりながら8月を振り返った。

 

 

    我のそば 我はのびても のびてはならぬ きっちり〆て かみしめる迄

 

 

 

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